◆忘れると忘れない。忘れたいと忘れられない。のことを考える。
◆4月2日(火)朝日新聞夕刊池澤夏樹氏のエッセイ部分。
(震災の)後になって公開されたたくさんの写真や動画。たぶん遺されたものには見るのも辛い記憶。
忘れたいと忘れてはいけないの間で人は迷う。震災は心の傷である。
忘れて、なかったことにして前に出たい。そう思う一方、死者は忘れがたい。
(中略)参事の現実があまりに大きくて多くて辛かったのでそれを伝えるのがむずかしい。
経験した人からしなかった人へ、その時の自分たちから未来の自分たちへ、手渡すものは多い。
そこでシンボルに頼ることになる。
◆宮沢賢治が初めて海をみた高台から石巻最大の被災地区を眺める。
賢治が胸躍らせた海がのみこんだ街のあとで海藻を売る元洋服店主をおおう白地の布の屋根に
曇り空のよわい日の光がすけて白々する。
店主の語る水のあと火のあと、生きていた人々のさけびのこと。ほのあかるい仮店舗にひとり立つ店主。
まっすぐに立ち語る。独りそれを聴く。とおくで汽笛がなる、船の。
◆絵描き肘、ってあんのか。
◆音楽がじゃまなとき、音楽にいてほしいとき。描いているときのそれぞれのときの思いのみちゆきは。
◆丈夫な紙に丈夫でない紙にかくときのちから具合でかく。
◆以前にどうやって描いたか忘れていちまいいちまいにむかうが、
かいているうちに思い出すのは、さいごにはひと筆ひと筆ちまちまとえのぐをのせてゆくと
祈るような気分になるということだけ。
◆筆先で画面をあらってゆく。彫り出すように。
◆物理学が語る光や波や力の構造の正体のままにかこうとする。
◆スポンジで絵具をのせるのは、鑑識作業にちかいのではないか。
描くのではなく浮かび上がらせる。待つ。
◆その絵は鳴っているか。その文は絵になっているか。というところにきこえてくる今朝の潮騒。
◆えのほん、だから、絵本。とたまにあらたまってみる。
◆海の家の去った、夏の往った浜でしれっとするしずかな海鳥。
◆生きのびようとしてきた遺伝子でできているわたしたち。生きのびよう。
◆半分できて通奏低音が鳴り始める。いけそうな気がしてくる。
◆南の島で北風に吹かれる。木々のざわめき。
◆とうとう竹富島で道を訊かれる。
◆かれゆくあかばなをみにゆく。
◆気分がでているかどうか。の基準をわすれかけていたのではないかということを思い出した島帰り。
◆ホルベインのみどりいろたちが好きでずっと使っているがあおいろもこの島々のあおいろたちなのだとよくわかった。
◆流れの転調は気分をもまるで転調させないとかけないとわかっておどろく。