表紙
こみちをたどっていく
しめったつちをふんでいく
にぎやかなみずをわたっていく
このきはなんさいなんだろう
ああ あしたも もりへこようか
(2022年 至光社こどものせかい9月号)
わたしのこどもたちとすごした森の思い出と
孫たちとあるきたい森への想いを
描きました。
森のことを考えていると
頭の中でいろいろなことが明滅して
木漏れ日のおどりのなかにいるようです。
ページをゆっくりめくりながら
ただのんびりと森歩きをして
帰ってきていただけましたら幸いです。
作者あとがき
大きな森の中にはいると、まず、「おそれ」がふってきます。
天をおおって繁茂する空間も、そのうつろいのすがたで見せてくれる時間も、あまりに圧倒的で、自分がとても小さくはかなく思えます。
その一方で、おだやかな森は居心地がよく、身も心も解き放たれます。
日の光、梢をゆらす風、静寂、ささやかな音、香りなどがごちゃごちゃになって醸し出す気配につつまれて、なんだかものすごく元気になるのがふしぎです。
ただ森にいるのが好きです。
同様のこころもちの若い人やそのこどもたちといっしょに森へ出かけることがあります。おさない人たちのそばにすわって、かれらと森の仲を見守っていると、自分がおだやかな老木になれた気分です。
森のめぐりのひとこまに紛れこんだようでしあわせなひとときです。
至光社編集者あとがき(ちいさなひろば2022年6月号 この絵本をめくりながら より)
絵本をひらくと、そこに森が広がる。思わず、深く息を吸い込む。気持ちがいい。一歩一歩、森のなかを進んでいく。緑の香り、風と光、鳥の声、水の音、森のものたちのしずかな息づかいを聴いていると、どんどん森のなかに、心もからだもとけていく。ああ•••自分も森のものになれたらいいなあ。
長い長い時を、ずっと刻み続けている森の時計。森のなかでは、季節がめぐり、生命がめぐっている。春も夏も秋も冬も、今そこにある。すべてがずっとつながっている。終わりのないめぐり、倒れて朽ちていく老木に芽生えたちいさな新しい生命は、明日すこし大きくなって、あさっては、もっと大きくなっている。一日一日すこしずつ成長する子どもたちとおなじように、森も人も、はじまりはちいさくて、生命の力いっぱいにきらきらと輝いています。大いなる時間に見守られて、ゆっくり大きくなっていくのですね。
樹々のあいだ、霧のむこう、風に揺れるもの、降ってくるもの……見つけて、聴いて、五感でたっぷり感じてください。自然への畏敬と愛しさに満ちた作者のまなざしが描くおおらかな森のぬくもりに、からだも心もやさしくほぐされていくでしょう。
秋です。紅葉を見に、落ち葉を拾いに行きませんか。おいで おいで……森はいつでもあなたを待っています。
至光社編集部 小沼みさ子
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