ほしがふる しずかなみずうみ
おさかな そっと ゆれる
いっしょに のっていくかい?
いそいで いそいで みずうみの まんなかへ
あたらしい あさの まんなかに
(表紙原画)
表紙
(2019年至光社)
せかいをうつす 水鏡、
しずかな みずうみ。
小舟で そっと こぎだせば
わたしが 世界の中心です。
北のくにの 山の中の しずかな みずうみ。
うつろいのすべてをうつして
ただそこにある みずうみの風景は
わたしを ひきつけて やまない、
ひとつの 詩です。
なので そのままを 本にしました。
ひととき ひたっていただければ さいわいです。
作者あとがき
しずかなみずうみにちいさな舟を浮かべ、ぼんやり漂っているのは至福のときです。
深く透きとおり、時の移ろいをそのまま映すみずうみは、身がすくむほどのとてつもなく大きななにかを湛え、わたしをつつみます。その圧倒的な静寂を損なわないよう、しずかにしずかに舟をこぐうち、からだがほぐれ、自分のありようはあたりに溶け込んでゆきます。
生きているなあ。
生きていてよかったなあ。
ただそれだけのよろこびが、からだじゅうに満ちてきます。
幼いころからこんな感覚を知っていることは、おとなになってもそのひとをはげまし、たくましくすることも、子どもたちを育て終わった今、はっきりとわかります。
みずうみは、遠い山の向こうです。
けれど日々のくらしも、生きるよろこびに気づかせてくれるさまざまにちゃんとつつまれています。ふととおりすぎる風。日の光。月明かり。星空。波音。季節の香り・・・。
しずかなみずうみは だれのこころのなかにもそっと広がっているはずです。
至光社編集者あとがき(にじのひろば2018年7月号 この絵本をめくりながら より)
森のむこうのもっと遠く、山の中にある湖。
まるでそこにあるのが秘密のような、音をたてたら消えてしまいそうな・・・。
朝靄のなかに聞こえてくるのは、かすかな水音。
水鳥ゆらゆら波をたてると、星空色の魚は夜とともに姿を隠す。
そっと漕ぎ出す小舟。
よろこびをわけあう友といっしょにむかうのは、
湖のまんなか。
静かな湖は、星を山を、森を木々の葉を、
空を雲を太陽を、この世界を映す鏡。
湖面に映るすべてのもの、
一瞬の時と時をつなげ織りゆく終わりのない生命の姿を映しつづけている。
自分もまたそのなかにある、
ちいさなひとつの生命。
朝の光を湖のまんなかで迎えれば。
そこは朝のまんなか。
光につつまれて、新しくはじまる一日と自分に出会う。
からだのなかから、生きているよろこびが、とめどなくあふれてくる。
行こう、空を渡って、太陽のむこうへ、どこまでも。
私たちは、この美しい世界で生きている・・・・・・
心に深く刻まれた風景は、
ふとした時にその人を支えてくれる。
それは、自然の景色だったり、
お話や想像の世界だったり、
部屋の椅子から眺める家族の姿、
誰かのぬくもりや言葉とともに覚えている時間のこともあるでしょう。
元気がない時や辛い時はもちろん、
自分を鼓舞したい時にも、
そっと背中を押し、一歩前に進む力を与えてくれる。
自分には此処がある。
自分をまるごとつつんでくれる場所がある。
それは心に、貴いすてきな宝物を持っていることなのだと思います。
今、子どもたちの目に映っているのは、どんな風景でしょう。
この世界が美しく、あたたかく、
かれらをいつもつつんでいることを祈ります。
至光社編集部 小沼みさ子
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