◆原画展がおわり、震災から2年がたつ。あちこちの紙片にかきちらしたりかきそびれたりするメモをここにもかこうと決める。
◆録画しておいたBSプレミアム「銀河鉄道の夜」を見る。
そうかもしれないがそうでないかもしれない。そうでないかもしれないがこれはこれでそうなのだ。そう、わたしは好きだ。
◆一年前にいったんほとんどしあげた本のしめきりの作業を始めるが、
一二枚描き直すつもりのイメージだったのに、やっぱり全部描き直すことにする。
いま、完成させるなら、このいちねんをもりこまないわけにはいかない。
◆原画展でせわしく外出をくりかえすあいだ、週末の夕食は外食になるだろうとおもっていたのが、
WBC見たさに夫が家でたべよう、僕がつくるから。と言ってこしらえてくれたカレーの残りに、
トマトジュースをたしてスープ状にリフォームし昼食。
夫の切ったにんじんのちいささ、不器用なひとのていねいなてさきに初めて気づく。きょうはホワイトデーだ。夫は出張だ。
◆ほんとうにそうであるかのような、を、そうであるとかく。
◆てぃん てぃん てぃてぃてぃてぃてぃん たんたんたたんたんたかたかたか たたたんたたんたん んぱ。
だああんだあんだあああんだん ぱああっ。
というリズムにしよう。
◆直し始めて5日にはならないのに、ほぼ描き上げてあったもののリズムや音がおもいだせない。
これでいいかどうかはわからないがあれではだめだったことだけは今はわかる。
◆はやぶさよりはやてが速いのかと思っていた。
◆あと10日すれば石巻へ行くのに、お店で買えるのに、ネットで粟野さんに蒲鉾を注文する。
冷蔵庫をあけたらかまぼこがない!に、2度がっかりして もうがまんしない。
◆広辞苑で比べる限りやっぱりはやてのほうが速そうな気がする。
◆その店は、エビスビールを最適温度で汲むという理由で選んだのだ。スタッフが男前だらけなのはたまたまだ。
◆ビールはつめたすぎちゃだめ。
◆こんなどんづまりまで来れたから、きっともうすぐできるなあ、なかなかいい感じのが。と、落ち着いているのもどうかと思う。
庭のヒメシャラにメジロがきているのを眺める。背後を白いひらひらが乱高下、ちょうちょうが浮かれている。
ガラス越しにして、暖かいと噂の朝を遮断。
◆どうしてこの町の電柱という電柱に貼りめぐらされる祭のポスターがハイビスカスなのか、
どうしてこの地域のコミュニティ放送局の印がハイビスカスなのか、市の花ホトトギスはどうした。
と、常夏南国気取りのイメージ戦略をどんよりした気分でどこか敬遠していたはずが
いま必死でしあげている本の主役ったらなんだ、これは。について考える。
◆HOUSE VISION杉本博司氏による(P.90)
私が子供の頃、(中略)一天、俄かにかき曇り、大粒の雨が降ってきた。
私は遊び仲間の子供達と共に、近くのトタン屋根の小屋に逃げ込んだ。
雷鳴の轟きに身を縮めていると、雨は激しさを増し、鼓を小刻みに叩くように、大粒の雨がトタン屋根を叩き続けた。
私は怖いという感覚と同時に、心が浮き立つような、自然界の神秘にふれたような、摩訶不思議な感覚に襲われた。
私の心は躍り、そして有頂天になった。そんな子供の頃の体験を再現したいと思い、
ここにトタン屋根の茶室「雨聴天」をつくってみた。
天から降る雨の音に聴き入る、という、私の幼児体験の由来である。
◆ハイビスカスを描きハイビスカスをしらべハイビスカスを想う。日のめぐり。刹那の赤。描ききりたい。
◆本田圭佑さん曰く。信じることは希望だ。有島武郎曰く。行け。勇んで。小さきものよ。
◆生き抜け。生きているあいだは。
◆宮沢賢治・十力の金剛石。
きらめきのゆきき ひかりのめぐり にじはゆらぎ 陽は織れどかなし。
青ぞらはふるい ひかりはくだけ 風のきしり 陽は織れどかなし。
にじななみだち きらめきは織る ひかりのをかの このさびしさ。
◆枚数はなんとかかきあげいきつもどりつしてかきなおす下絵のかずかず。きっとまた100枚くらいになるかな。楽しくなってくる。
◆小児病棟の手伝いをいったん退会する。
けんめいに今日を生きるこどもたちの体温を泣き顔を笑い声を忘れるな。絶対忘れるな。
彼らがつつがないあしたをとりもどすためにそこではたらくすべてのおとなたちのこころも忘れるな。生きる限り描け。
生きろ、せいいっぱい。
◆石巻の旅。画業のあいまにかならず書いておくこと。
◆きっと描ける。夢もみたんだ。