2013
31
Aug

日々記

だんまり日記 8月

 

◆あたらしい本ができてきた。

目をとおしてすぐに編集にでんわするつもりだったがしなかった。

編集さんのかいてくれたあとがきを読んだら

胸がつまって おさまらなくなった。

いま ひととはなしたら、泣く。

 

◆この本のこと。

編集さんのこと。

 

◆この 編集さんとであえたということ。

 

◆この 編集さんと しごとをかさねていくということ。

 

◆生きる日々の おおきな部分の かかせない つれあいだということ。

 

◆この編集さんのいる 出版社のこと。

 

◆この出版社を ずっとずっとやってきた親方のこと。

 

◆そのひとに このひとたちに であえたということ。

 

◆えほんのしごと。しごと。しごとを  しよう。

 

◆ポストに果し状が入っていたぞ、っつって

末息子にわたされた書状は、

ののか りか の連名だった。

 

◆キティさんのたんじょうかいをやります、

あしたあさってしあさってです、

おまつりです、

まってまーす!

 

◆キティさんとは。

 

◆ののかさんりかさん

キティさんのおたんじょうびおめでとうございます。

しあさってのさんじにうかがってもいいですか。

と、りか嬢のおかあさん経由で電子返書。

 

◆それに対して電子返書があったが署名は

のどか  だった。

キティはにんぎょうですが ほんにんが やりたがってます。

しあさってさんじまってまーす。

 

◆どんぐりとやまねこか。

わたしは かねた一郎  か。

馬車別当はむかえにくるのか。

みやげは黄金のどんぐりか。

 

◆そこいらじゅう

なつやすみが みちている。

 

◆客人のすえむすこ(7さい)が

うちの末息子(20さい)とならんで

甲子園を観戦している。

鉄板の思春期を脱しかけている20さいは

まっすぐな7さいと、

その兄貴の11さいに かまっている。

言葉少なに。

 

◆20さいが、高校生のプレーを批評しつつ観戦する。

7さいは耳をかたむけている。

「やきゅう やってたの?」

「やってたよ。」

「こうこうやきゅうも やってたの?」

「高校の時はアメフトだったから高校野球はやってないよ。」

「じゃ、いわれたくないんじゃない?」

 

◆にやにやと苦笑いして うすく こまっている 末息子は

ちょっと おとなになった。

 

◆「ぼくは スコアラーがむいているとおもうんだ、

中学になったら、そんなわけで 野球部にはいろうとおもう。」

読みかけの本から顔を上げずに11さいの客人がつぶやく。

アブラゼミが網戸で鳴いている。

 

◆うちに、なつやすみが きてくれた!

 

◆夫は早起きして客人の3きょうだいをひきつれて

やまと うみとに 散歩にでかけた。

 

◆なつかしい なつやすみだ。

 

◆キティさんのたんじょうかいに手書きのおいわいカードを持参する。

わかい家族がふたつ、

よりそってまったりと夏をすごしている。

座敷のテーブルに巨大なあたまのキティが座っている。

こどもたちが 座敷をでたりはいったりする。

合間にやっかいごとについてはなしをする。

こどもたちがけんかをする。

だまってながめる。

こどもが コップをたおして水をぶちまける。

ふきながらやっかいごとについてはなす。

ダンスをするのでみていてください、

と おんなのこたちがいう。

4公演ほど拝見する。

眠くなる。

それでね、

と やっかいごとについてのつづきをはなす。

きょうは海からの風が吹く。

この 妙におだやかな空気はなんだろう。

奥行きのある映画の一場面のような。

 

◆おまねきありがとう。

 

◆7月に3人目のあかんぼうがうまれた隣の家では、

まんなかの坊やが

いったんきちんと赤ちゃんがえりをして

もう あたらしい にいちゃんになった。

 

◆なつやすみは

わかいいのちたちには とてもながい。

 

◆北側の空き地の雑草が密林のようだ。

ふといつるが雨どいをのぼっている。

おのれ大蛇め。

そうののしりながら退治する。

毎夏生まれ変わる、

わかいみどりたち。

ごめんよ。

 

◆北へ かえる旅に出る。

森の雨音。レインツリー。霧。

夜。闇。

しずかな湖のよあけ。

櫂の音。

火の山の息。

知り合いの、巨木。

夏毎に こどもたちを育んでくれた場所に ことしも。

あらたに、なじみになったかたがたの街をたずねて

ことしも。

 

◆北から 帰って

夏はおわる。

かわいた秋風にもう、

吹かれてきた。