◆あたらしい本ができてきた。
目をとおしてすぐに編集にでんわするつもりだったがしなかった。
編集さんのかいてくれたあとがきを読んだら
胸がつまって おさまらなくなった。
いま ひととはなしたら、泣く。
◆この本のこと。
編集さんのこと。
◆この 編集さんとであえたということ。
◆この 編集さんと しごとをかさねていくということ。
◆生きる日々の おおきな部分の かかせない つれあいだということ。
◆この編集さんのいる 出版社のこと。
◆この出版社を ずっとずっとやってきた親方のこと。
◆そのひとに このひとたちに であえたということ。
◆えほんのしごと。しごと。しごとを しよう。
◆ポストに果し状が入っていたぞ、っつって
末息子にわたされた書状は、
ののか りか の連名だった。
◆キティさんのたんじょうかいをやります、
あしたあさってしあさってです、
おまつりです、
まってまーす!
◆キティさんとは。
◆ののかさんりかさん
キティさんのおたんじょうびおめでとうございます。
しあさってのさんじにうかがってもいいですか。
と、りか嬢のおかあさん経由で電子返書。
◆それに対して電子返書があったが署名は
のどか だった。
キティはにんぎょうですが ほんにんが やりたがってます。
しあさってさんじまってまーす。
◆どんぐりとやまねこか。
わたしは かねた一郎 か。
馬車別当はむかえにくるのか。
みやげは黄金のどんぐりか。
◆そこいらじゅう
なつやすみが みちている。
◆客人のすえむすこ(7さい)が
うちの末息子(20さい)とならんで
甲子園を観戦している。
鉄板の思春期を脱しかけている20さいは
まっすぐな7さいと、
その兄貴の11さいに かまっている。
言葉少なに。
◆20さいが、高校生のプレーを批評しつつ観戦する。
7さいは耳をかたむけている。
「やきゅう やってたの?」
「やってたよ。」
「こうこうやきゅうも やってたの?」
「高校の時はアメフトだったから高校野球はやってないよ。」
「じゃ、いわれたくないんじゃない?」
◆にやにやと苦笑いして うすく こまっている 末息子は
ちょっと おとなになった。
◆「ぼくは スコアラーがむいているとおもうんだ、
中学になったら、そんなわけで 野球部にはいろうとおもう。」
読みかけの本から顔を上げずに11さいの客人がつぶやく。
アブラゼミが網戸で鳴いている。
◆うちに、なつやすみが きてくれた!
◆夫は早起きして客人の3きょうだいをひきつれて
やまと うみとに 散歩にでかけた。
◆なつかしい なつやすみだ。
◆キティさんのたんじょうかいに手書きのおいわいカードを持参する。
わかい家族がふたつ、
よりそってまったりと夏をすごしている。
座敷のテーブルに巨大なあたまのキティが座っている。
こどもたちが 座敷をでたりはいったりする。
合間にやっかいごとについてはなしをする。
こどもたちがけんかをする。
だまってながめる。
こどもが コップをたおして水をぶちまける。
ふきながらやっかいごとについてはなす。
ダンスをするのでみていてください、
と おんなのこたちがいう。
4公演ほど拝見する。
眠くなる。
それでね、
と やっかいごとについてのつづきをはなす。
きょうは海からの風が吹く。
この 妙におだやかな空気はなんだろう。
奥行きのある映画の一場面のような。
◆おまねきありがとう。
◆7月に3人目のあかんぼうがうまれた隣の家では、
まんなかの坊やが
いったんきちんと赤ちゃんがえりをして
もう あたらしい にいちゃんになった。
◆なつやすみは
わかいいのちたちには とてもながい。
◆北側の空き地の雑草が密林のようだ。
ふといつるが雨どいをのぼっている。
おのれ大蛇め。
そうののしりながら退治する。
毎夏生まれ変わる、
わかいみどりたち。
ごめんよ。
◆北へ かえる旅に出る。
森の雨音。レインツリー。霧。
夜。闇。
しずかな湖のよあけ。
櫂の音。
火の山の息。
知り合いの、巨木。
夏毎に こどもたちを育んでくれた場所に ことしも。
あらたに、なじみになったかたがたの街をたずねて
ことしも。
◆北から 帰って
夏はおわる。
かわいた秋風にもう、
吹かれてきた。