ポンポロッコ番外地 小さな絵本の色校正

2017年9月27日(水)
ポンポロッコの森。番外地のおはなし。
くまとうさぎは
ますださん(注1)にからだをもらいました!
「ああ。本の外に出られるなんて。」
くまは うっとりしました。
「ああ。マジで。マジで。耳。あらえるし。」
うさぎは 興奮気味でした。
それで ふたりで ポンポロッコの外へ
散歩に出かけました。
森を出るなりそこは
ひどく散らかった机の上でした。
足元に気をつけながら 行くと、
なにか だらしなく開いた本のように見えるものの前で
アーダとコーダに会いました。
「こんにちは。アーダ。」
「やあ。コーダ。」
「それ、なあに?」
くまとうさぎは
アーダとコーダが いれかわりたちかわり
出たり入ったりしている本のようなものを
おそるおそるのぞき込みました。
「絵本。だね。」
くまが ちょっと ほっとして 言いました。
「ずいぶん 小さいな。」
うさぎが 首をかしげました。
すると アーダと コーダが
イロコーセー♪イロコーセー♪とうたったり
ケラケラ笑ったりしながら
小さな絵本の周りをくるくる走り回りました。
その様子があんまりせわしくてうるさくて
くまとうさぎは
たちまち目が回ってしまいました。
「まあ いい。」
うさぎがちょっと荒い息をしました。
「色校正は 基本 オッケーだ。」
「うん。おっけーだ。」
くまも つられていいました。
「よし 帰ろう。」
うさぎは まるで目が回ってしまい、
一刻も早く ポンポロッコに戻って
お茶の一杯でも飲みたいものだと思いました。
くまは
ほんとうはもうちょっと絵本をちゃんと見たいと思いましたが
「うん 帰ろう。」と
やっぱりつられていいました。
そして ポンポロッコに向かってよろよろと歩き出しながら
うさぎに
「本、出るのかな。」
とささやいてみましたが
うさぎは もう すっかりくたびれてしまったようで
なにも こたえませんでした。
(いつかしら。)
くまは ひとり ぼんやりと 考えましたが わかりませんでした。
森へ向かうふたりの背中に
色校正見本の用紙の端っこから
カラーチャートが虹色の光になってそっとさしかかります。
それに合わせて
アーダとコーダが
12ガツゴウ♪オリコミフロク♪(注2)と
うたったのですが
ケラケラ笑いながらうたうものだから
くまとうさぎにはちっとも聞きとれませんでした。
もっとも
きちんとうたったとしても
もう二人は ポンポロッコの森の入り口にいて
懐かしい風が
おかえり くま、おかえり うさぎ
と ざあざあ梢を鳴らしたので
聞こえなかったかもしれませんけれど。

おわり。

注1 ますださん

ぬいぐるみ人形作家。
逗子ととら堂でときどき個展があります。
ポンポロッコのキャラクターに命をありがとうございます!

注2 12ガツゴウ♪オリコミフロク♪

小学館「小学一年生」12月号折り込み付録ぴっかぴか絵本ミニ。
来年度ミニじゃないサイズで単行本として発行予定です。

荒れ野。仕事机。