◆しごとはじめの月曜日に
ながい年末年始の休み中目をつけておいたちいさな空き地へいって
枯れたえのころぐさをひとたば失敬する。
机にいければ、しごとばの風景は一変、
やる気急上昇。
◆ふゆから はじまる。
あれも これも。
◆このくさたちの 立ち枯れのすがたを見よ!自分!
◆ふるい友人がしっかりと生き直しはじめたことも
年賀状で確信。
◆彼女の字、むかしみたいな殴り書きで読めやしない。
どうせ 書きながら あしたのほうばかり見ているのだろう。
もう 安心。
◆あたらしいとしを 謹賀。
◆ひとを 潤すのは かなしみ。
ということばに触れた。
◆かなしみ。悲しみ。哀しみ。
◆かなしみ と かなしさ。
◆かなしみをかかえて
生きるよろこび。
◆ちいさい絵がかけない。
◆旅に持参する予定のスケッチそっちのけで旅程を組む。
◆冬の旅。北への。
◆東川町でタクシーの運転手さんに雪道運転のイロハの講習を受ける。
◆おれいに。
雪の旭川空港へ降りてくるときの東川美瑛富良野界隈がどんだけ美しい眺めか。
をおはなし申し上げる。
◆いつもそうだからな。そんなにきれいですか。
◆雪原に降りるんです。
千歳空港では こうではありません。
◆そんなもんか~。
◆最終便で帰る時もすばらしいんですよ。
◆まっくらでしょう?
◆真っ暗ななかに ところどころあかりが集まっているんです。
それぞれの街です。
なんてあたたかいながめなんでしょう。
◆あ~!なるほど!!!
◆小さくて、よけいにあたたかいのです。
泣きながら離陸です。
◆どこの街か、わかりますか。
◆旭川だけが星形に大きくてわかります。
あとは わからないのです。
◆・・・自分も年に何回か飛行機にのりますが
わかったためしがありません。
◆そんなもんですか。
◆そんなもんです。
◆鉄道。
◆雪の丘。
◆雪の街。
◆待合。
◆鉄道。
◆雪の森。
◆雪のしずけさ。
◆雪のせかい。
◆雪のくにのくらし。
◆ちいさくあつまって あたたまりあう。
◆白の ゆたかさ。
◆初期化する。リセットする。
◆しろから はじまる。
◆ふゆから はじまる。
◆なにもかも。
◆冬の 清冽。
◆帰りの最終便の窓に顔を押し付けてながめる街のあかり。
◆あ。わかった!
あのあかりがあの道。
だからあの集落は 美瑛町。
◆飛行機は 南へ。南へ。
東川を旭川をふりかえらずに。
◆次にきたときは レンタカーを借りよう。とつれがいう。
「白い道を、運転してみたいんだ。」
◆僕の前に道はない。
◆せっかく 教わったしね。
◆僕の後ろに道はできる。
◆そういう 初期化を 彼も したいのだ。