だんまり日記7月

 

◆夢日記、ってすすめられたがめっきり夢をみない。ような気がする。

起きている間中ついてまわる妄想がじつは夢なのではないか。

ていうか起きているつもりが 眠っているのではないか。

飲酒は好きだが、酔うのはきらいなのは

妄想がとまるのをきらうからだと自覚しているが、

それは いつも酔っぱらっていたい人物が飲酒をやめられないことと

本質的におなじなのだろうか。

◆ゆ、夢をみた。

ピンクにぬられたひよこになって、

箱の中でぴいぴい ひしめきあって、

縁日なのか 電球のひかりを浴びている。

年にいちどの健康診断にでかけたのだが、

女性専用とかで、全員ピンクの上下検査着、

女性専用だからって待合のいすの並べ方の間合いをつめすぎなんじゃないか。

これじゃあ、まるで、

縁日のカラーひよこだよう。

と思った。

・・・ゆめじゃないか。

起きてみていた、軽い妄想か。

 

◆あんまりにもきっぱりと夏が来た。

目の前で空が晴れて梅雨が明け、街から浜からにぎわいがたちのぼり、

となりのうちでは こどもがうまれた。

 

◆あの椅子にキャスターがついていればかんぺきなのに。

この椅子が広い座面をもっていればかんぺきなのに。

 

◆旅館の草刈りのモーター音、夏草のにおい。

いいな。

ギターはさっぱり聴こえないが。

 

◆山の奥の方で鳴き始めたせみが、そこいらの木々まで進出してきたか 音量があがった。

うまれて3日目のとなりのぼうやのなきごえも日増しに大きくなる。

いい夏だ。

そして植物だって、というか、彼らこそすごい。

伸び放題のつるのみなさんに、この星はみなさんのものです、

隙間にいさせてください。

と 祈りをささげながら、

其一のあさがおみたいになれや。とも念じる。

 

◆まいあさ 庭のおんなじ位置のクモの巣に かかっているにんげん。

 

◆赤ん坊のうまれた家から、新・3児の母のはなうたもきこえてくる なつのあさ。

そろそろ お祝いにおじゃましよ。おじゃましちゃお。

 

◆ピンクのひよこの検診結果がきた。

炭水化物はビールで、ビールは週末にまとめ飲み、まとめ飲みの際は甘いものも食べ放題。

の、定期解放策は 実証をもって承認された。やった!長いみちのりだった。

 

◆じぶんの目先の健康でさえこのありさまだ。

人類のやまいにたちむかう研究者に、臨床に携わるかたがたに 深い謝意を献じて 乾杯。

 

◆いえの外回りを改修するのに業者さんや設計さんとやりとりしていて、

イメージを最初につたえたらきっちりした図面がとどき、

図面からあらたに思いついた詳細を、もう一度プロフェッショナルに相談しよう、ご意見を承ろう。と

こしらえた案は5パターンもあり、

しかもつぎつぎと浮かんできてしまって、それらをかき起こす作業もはかどってしまうことに

たいへん かなしいきもちになって西日を浴びている。

 

◆ゆきづまって うっちゃられてる、わたしのしごとが そばで泣いている。

 

◆最近誕生日が来たが、大暑で満月だったそうだ。

その前後は知り合いやその家族も、ついでにいうと未来の英国王の誕生日もかなり集中しているのだが、

大暑ってとこがなあ、っていうか、

地球に、正しくは陸地がちの北半球に

わけあえるエネルギーがおおきい季節なので生まれる生き物もおおいのか。

 

◆逆の理屈で、

冬至のころ生まれている娘なんかは

貴重な地上エネルギーをかなり独占的に吸収してるのか。それで相対的にもあんなにあちいのか。

火の山みたいに。

 

◆トーベ・ヤンソン展でであったことば。

「ほんとうに大切なものがあればほかのものすべてを無視していい。

そうすればうまくいく。

自分の世界に入り込み、目を閉じて、おおげさな言葉を休まずつぶやきつづける。

そのうち確信がもてるようになる。」

 

◆そうやって、建築図面から しごとにかえろう。

 

◆若く、しなやかな友人が 仕事をかえつつある。なんでもひきうけられるスーパー女子だが、

自分としてはものすごい転換点だという。

だれかのやくにたつ、というこれまでの基準を、自分がおもしろいとおもう、に変えた、という。

そのふたつは なんにも矛盾しない。といって  みんなで ビールをのんだ。

 

◆桃の皮をむくのをやめた。マンゴーの切り方を知った。

 

◆いまは げらげらわらいながらビール飲んでるが、

みんな

ここにいるだれもが みんな

死ぬ気で こどもを 育てたんだ。

 

◆ちいさいときにはおとなの宴会に混じっていたのが

おおきくなるにつれて あきれて席をはずしたり よそへでかけていたりしていたこどもたちが

思春期もとおりこして宴会の参加者になりつつあるのは

しみじみとさいわいなことだと思うがそんなとき出会ってしまった、トーベ・ヤンソンの随筆。

 

◆『わたしは パパの(たばこの煙と音楽にゆられている)パーティーが好きだ。

(中略)

パーティーは見ないほうがいい。

見ると思いえがいていたものが消えてしまう。

パーティーはいつも似たようなものだ。見たければ寝棚からのぞけばいい。』

トーベ・ヤンソン/彫刻家の娘

 

◆結果、トーベ・ヤンソンは「孤独は最高のぜいたくだ」と言い切るに至るが、

結果、ではないか。ちがうか。

 

◆全力で宴会をするとしばらく独りになりたくなるのだ、それがぜいたく、とは言い様だが、

「パーティーと孤独」のとりあわせでなくてもいい、

ひとに会い、ひととはなし、ひとと生きる、ことと、

独りになる、独りで考える、さみしくする、ことを こころして行き来することができるのは

はっきりいってこのうえないぜいたくだ。

 

◆感謝だ。感謝してるとインターホンが鳴る。

 

◆神さまの営業にきている、と一目瞭然のひとたちをインターホン越しに無言でながめる。

彼らは、わたしが、留守にしているか、かれらを無視しているかと思うだろう。

仕事中の唐突な訪問にいらだちながらも

だんまりをきめこんで うすめで軽くにらみつけていることの非礼をすこしは詫びるつもりで、

一秒ほど手を合わせているとも知らずに。

たのむ。

独りにしてくれ。

 

◆あれは行なのか。建長円覚など禅寺の雲水がくりだす 托鉢とおなじなのか。

なら ぴんぽんはよしてほしい。

おとなえでもして行脚すればよい。

 

◆それもやかましいか。

 

◆そうじゃよ。暑いんじゃよ。

 

◆きんじょの5歳のおんなのこが、家のそとで自分ちのくるまによじのぼってとおくをみながら

のんちゃんこないかなあ。のんちゃんこないかなあ。のんちゃんこないかなあ。

と、ひとりごとをくりかえす。

なつやすみがきた。

 

◆となりのぼうやは、ひごとに泣きっぷりがたくましくなる。

なつかしくてだまって泣きたくなる。

 

◆いきる時間も、中入り後だ。それでもまだだいぶある。

むしろ本番だ。

ようやく 本場所だろう。

となると取り組みは中入りまでしばらくある。