しずかな みずうみ (2018年至光社)

 

 

せかいをうつす 水鏡、

しずかな みずうみ。

小舟で そっと こぎだせば

わたしが 世界の中心です。

 

北のくにの 山の中の しずかな みずうみ。
うつろいのすべてをうつして
ただそこにある みずうみの風景は
わたしを ひきつけて やまない、
ひとつの 詩です。
なので そのままを 本にしました。
ひととき ひたっていただければ さいわいです。

作者あとがき(こどものせかい7月号にじのひろば掲載)

しずかなみずうみにぷっかりと舟を浮かべ、ぼんやり漂っているのは至福のときです。
このごろは夫婦二人で通うみずうみも、
子どもたちが小さかったころは、夏が来るたびにいっしょに出かけたものでした。
深く透きとおったそのみずうみに舟を出すと、
まず、自分があまりにも小さく思えて身がすくみます。
時の移ろいをそのまま映すみずうみは、
とてつもなく大きななにかを湛え、わたしをつつみます。
その圧倒的な静寂を損なわないよう、
しずかにしずかに舟をこぐうちに、
からだがほぐれ、自分のありようはあたりに溶け込んでゆきます。
生きているなあ。
生きていてよかったなあ。
ただのそれだけのよろこびが、からだじゅうに満ちてきます。
幼いころからそんな感覚を知っていることは、
おとなになってもそのひとをはげまし、たくましくしていると、
子どもたちを育て終わった今、はっきりとわかることも大きなよろこびです。

至光社編集者あとがき(にじのひろば8月号 この絵本をめくりながら より)

森のむこうのもっと遠く、山の中にある湖。
まるでそこにあるのが秘密のような、音をたてたら消えてしまいそうな・・・。
朝靄のなかに聞こえてくるのは、かすかな水音。
水鳥ゆらゆら波をたてると、星空色の魚は夜とともに姿を隠す。
そっと漕ぎ出す小舟。
よろこびをわけあう友といっしょにむかうのは、
湖のまんなか。

静かな湖は、星を山を、森を木々の葉を、
空を雲を太陽を、この世界を映す鏡。
湖面に映るすべてのもの、
一瞬の時と時をつなげ織りゆく終わりのない生命の姿を映しつづけている。
自分もまたそのなかにある、
ちいさなひとつの生命。
朝の光を湖のまんなかで迎えれば。
そこは朝のまんなか。
光につつまれて、新しくはじまる一日と自分に出会う。
からだのなかから、生きているよろこびが、とめどなくあふれてくる。
行こう、空を渡って、太陽のむこうへ、どこまでも。
私たちは、この美しい世界で生きている・・・・・・

心に深く刻まれた風景は、
ふとした時にその人を支えてくれる。
それは、自然の景色だったり、
お話や想像の世界だったり、
部屋の椅子から眺める家族の姿、
誰かのぬくもりや言葉とともに覚えている時間のこともあるでしょう。
元気がない時や辛い時はもちろん、
自分を鼓舞したい時にも、
そっと背中を押し、一歩前に進む力を与えてくれる。
自分には此処がある。
自分をまるごとつつんでくれる場所がある。
それは心に、貴いすてきな宝物を持っていることなのだと思います。

今、子どもたちの目に映っているのは、どんな風景でしょう。
この世界が美しく、あたたかく、
かれらをいつもつつんでいることを祈ります。

至光社編集部 小沼みさ子

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