ギターをひくひとたち

2011年10月21日(金)

 

日々耳にしたいのはギターの音。

つまびけば鳴る、弦の音。

 

だからってさ、ギターを描き込んでみるっていうのは かあさん、単純すぎじゃね?

しごとばをとおりすがる末の息子がせなかからのぞきこむ。

ききすぎなんだよ、「押尾コータロー」。

 

押尾さん。いつもたいへんおせわになっております。

っつって、いつかごあいさつしないとまずいのではないか、と 家のものも真剣にいうのはなぜかって、

おしごと はかどるから。

朝方、アルバムを一式、がっつりつかみます。

トランプよろしくシャッフルします。

山と積みます。

上から順にかけます。

ぶっとおしで6時間働きます。描きます。描き直します。

脳裏に浮かぶことばは 6時間耐久レース。

押尾6耐。

こないだうっかり、8耐。

おかげで奥歯がいたくてたまらない。

いつか ききあきてしまったら どうしたらいいんだろう、と不安を口にすれば、

だいじょうぶだよ、ぜったいにあきない。

うちのひとが流し見る目が笑っている。

 

押尾さんのおとはたっぷりしている。

あさからずっと「押尾山」をかけつづければ、あたまのなかで あれやこれやが ついたりきえたりする。

明滅電球はながもちで、きがつくと、西日がさしている。

 

ざっざあん・・・ざん。しゅわぁ。黙。

海が鳴るゆうぐれ、いえしごとへのきりかえに浜をぶらぶらいけば、

きょうの海も、おんなじにたっぷりしている。

ふと目をやればあかく、となりまちの灯台が明滅。

掛け合いみたいに、むこうまちの島の灯台がしろく明滅。

あしもとの砂に風紋。

こまったな。あたまのなかでまだギターが鳴っている。

散漫に、かえれない。

観念して旋律を口ずさんでみたら、すきまかぜみたいに、ライブの情景をおもいだした。

 

おきゃくせきには、部員がたくさん参集していた。

「男子押尾部」、会社がえりなのでしょう、ぱりっとすてきなワイシャツ姿で

おしお!とさけんだかと思うと、

演奏が始まるや否や、さっと双眼鏡をかざし押尾氏の手元を観察。

そんなかれらを広角観察。

おうちにかえったらみんな、おのおのの楽器を抱きかかえて稽古するんだろな。

複製押尾が増殖だ、この国は、きっとだいじょぶだ。

帰り際にふらふらとそばを通った、息子らほどの青年がふたり、かすれ声で すげえを連発。

その間をとおりぬけがてら ささやきたい。

・・・ギタアのぼうや。たのんだよ。おばちゃんがビイルおごってあげようか。

 

こないだ、押尾サウンドの中でしごとのあいまに あせって記入した生協のマークシート注文書で大誤答、

電動ミルもないのにコーヒーが、豆のまんまで8袋やってきた。

毎朝がぶがぶ5杯分、全部 粉でいてほしい。

やれやれ。

やっつけておこうと、ごりごり手びきをはじめる。

ドナドナ ドーナ ドォナ~。

一袋やった。1時間うたった。

いっぺんにやれば8耐か。

出番です、押尾さん。

手をひらいていつもの山をつかもうとしたけれど、半拍とめてするりとそらし、

ひとさしゆびで、「ゴンチチ」をひっぱった。

ごりごり。きゅるきゅる。ごりごりごり。ためいきつきながら、

ま、いいや。って、

どんどんぼんやりしてゆくよ。

海面はまったいら。

きっと月も映る。

ひきたてのコーヒーが、香る。

うつらうつら、想いのかけらもくすぶって、

ほそいけむりが たちのぼる。

 

乾杯!ギターをひくかたがた。

今後ともよろしくおねがい申し上げます。