はみだしだんまり日記9月/ギターの音

2013年9月9日(月)

 

森のなかできく ギターのはなし。

日記にちょっとメモしておくつもりがながすぎてはみだした。

 

明治神宮の森で

いちねんにいちどひらかれる

野外音楽会に、結局はでかけた。

今年は行くのをよすかなと思っていたのに

真夏のゆうがたの早めのビールのいきおいで

夫が やっぱり行こうという。

 

ことしは ギターがふたりなんだぞ。

オシオキなんだぞ。

 

いまさら席があるわけないでしょう、

こないだの押尾さんのライブチケットとるのに

携帯4台で40分。

これまでは1台で20分。

はい倍率急上昇。

計算してみいや。

 

チケットがまだあるか きくだけきいてみればいいだろう?

 

というのだが しかし、

そこで電話をかけたのは夫ではない、自分だ。

ビールを中断しろというのか。

おのれ オットセイめが。

と 毒づきつつ キョードー東京に電話をかけたのは

ほろほろと 酔ったいきおい。

・・・・・・あろうことか

一発で電話がつながり、

電話のむこうのおねえさんは

「ちんじゅの森コンサートでしたらチケットはまだございます」 と いう。

わたくしはといえば

一発でつながってうろたえているうえに ほろ酔っている。

さらに西日を浴びている。

チケット引き換え番号をちゃんと控えられるか、

一気に緊張する。

頭は割れんばかりだ。

一方、

キョードーのおねえさんにしてみれば

夕方の もう帰ろうか っていう時間に

チケットあるかって電話してきたとんちんかんな客だ。

・・・・・うとうとしてたのに びっくりするじゃないか。

と 思ったにちがいない。

チケット引き換え番号全13ケタをなんどもいいまちがえる。

ほろ酔いから必死に覚醒しようとしている客も

なんどもかきまちがえる。

互いにたすけあい奮闘すること数分。

「以上、おまちがえはないでしょうか。」

「・・・・はい。だいじょうぶでえええええす。 」

「・・・・・ヤマザキさま。わたくし、番号をなんども つっかえましたので

ねんのため もういちど 申し上げます・・・・・・」

「お・・・おねがいしまっす・・・」

 

そうやって 1年ぶりにやってきた

ちんじゅの森コンサートだ。

 

沖仁さんを 初めて生できくうえに

押尾と沖の オシオキだ。

 

きてよかったよ、オットセイよ。ありがと。

 

沖さんが、

震災直後の満月のはなしをする。

計画停電で真っ暗な夜に気がついた月明かり。

沖さんのすまいは となりまちときく。

おなじ月を、見ていた。

 

長男と見ていた。

真っ暗な居間で

ろうそくの火をみつめて、

まだらに話などするうち

明るさに気づいて、

表に出た。

月影がさす、街並みをみた。

かがやく家並を ながめた。

月を仰いだ。

月光を浴びた。

見上げてますか。

東北のひとも。

と願った。

ほら。

息子は、

立ってしずかに月の光を浴びている。

 

震災の日、たまたま日本にいなかった長男。

そのかわりってこたあないが

この子は以前おおきな病気をしました、

かみさまが

わりびいてくれたのだと、

ははおやは思う。

月をみながら、

ふくざつになみだする。

 

月は みている。

だれのことも、 みている。

 

それから間もなくして

息子は

テントもって北の海辺の泥かきにでかけていった。

 

そんなこんなを

いっぺんにおもいだしながら

沖さんがそのおつきさまからもらった即興の曲、

スーパームーンをきく。

舞台の背後のクスが、風にゆさぶられる。

少しく、葉を降らせる。

降る、降る。 降る。

葉が。光が。しずくが。

ギターの

おとが。

弦が 夜空に伸びるのを見る。

 

押尾さんと沖さんが

ならんで弦を鳴らす。

くっついてならんで鳴らす。

それから

はなれてすわって 間に夜気を置く。

それぞれギターをかかえこんでいる。

もう ギターが鳴るのではなく

彼らがそのまま

鳴っているのだろう。

きょうだいみたいに 響き合う。

からり。しっとり。高く。低く。

 

沖さんの領域、フラメンコといわれるとわからん。

フラメンコ、をしらないといかんのかもしらん。

知らん知らん知らん。

わたしには沖仁は(敬称略)

どんぐりとやまねこ なんだ。

沖仁はイーハトーブのひとなんだ。

 

たまたま観た幼児番組で耳にした、

どんぐりとやまねこのおはなしに寄りそう弦の音。

風と、かわいた草の音と響き合う弦の音。

だれだよ、このギター!

こたえよ、馬車別当!

わたしの髪にも風がくる。

賢治先生にとどけや!

しっかし だれなのよ!

ん。すぐにしごとする、の 予定を変更して

どんぐりをやまねこを最後までみよう。

クレジット確認実行しよう。

と思いつつ

Eテレを堪能すること しばらく。

「それからあと、やまねこ拝というはがきは、もうきませんでした。・・・・」

と おはなしが終わると。

 

◆出演   成河。

 

◆ギター  沖仁。

 

なんだよ、沖仁かい!

フラメンコ。じゃないのかい。

フラメンコってなんだい。

フラメンコギターってくくりはなんなんだい。

知らん知らん知らん。

そんなこと知らん。

きかねば。

きかねばきかねばきかねば。

沖仁がつまびく、弦の音を。

以上敬称略。

 

今日もしごとばでギターは鳴る。

風がすずしくなった。

くうきが かわいてきた。

弦をつまびくひとたちは

そういうめぐりと息をあわせてくらしていらっさるのだろう。

オシオキのアルバムがいつかできますように。と

こんどの満月に祈ろう。

そこにはまちがいなく、

深い森と草原と、風と光、あめつちのすべてがあることだろう。

 

ちんじゅの森の、うたごえのみなさんもすてきだった。

ここには かかなくてごめんなさいの弦専科。